練習曲をコンサートで演奏することを思いついた、と言ってもヴィラ・ロボスの12の練習曲やソルの有名エチュードを演奏するという話でない。それは誰でもやっていることだ。
私が考えているのはカーノ、カルリ、アグアド、ジュリアーニ、カルカッシなど、コンサート向けというより学習者向けの作品をコンサートで演奏するということだ。
しかし彼らの残した練習曲のあくまで練習曲だ。基礎技巧である音階やアルペジオ、ポジション移動、スラー、重音(3度や6度、オクターブ)の為の練習曲は、テクニック向上が目的であり、曲としてはそれほど面白いものではない。演奏時間も多くは1、2分の長さだし、数10秒で終わるのもある。コンサートで取り上げるにはちょっと物足りない。
でもそんな練習曲を手当たり次第弾いてみると、キラリと輝いている曲が見つかるのだ。
それも1曲や2曲だけではなく、結構見つかる。こうした小さな練習曲を拾い集め、ダイナミクスやテンポなどを工夫し、曲順も考えて1つのレパートリーにできないものか。
そんな発想でソルの練習曲を14曲選び、弾いたことがある。演奏時間は15分前後かかった。
一部のお客さんには多すぎるという声を頂いたが確かにそうだった。いくら輝く部分を集めて工夫したところで限界はある。せいぜい10分ぐらいが無理のない範囲だろう。その一方、別のお客さんからはなかなか面白い試みと言う声も有った。
ところで最近、こんなCDを見つけた。
宮下祥子さんの「ヴィルトゥオーゾ」。この中のアグアドの練習曲、ジュリアーニの前奏曲が目を引く。
3. アグアド:練習曲第18番
4. アグアド:練習曲第24番
5. アグアド:練習曲第3番
8. ジュリアーニ:前奏曲第4番op.83-4
9. ジュリアーニ:前奏曲第1番op.83-1
宮下さんはアグアド、ジュリアーニの楽譜を片っ端から目を通し、一つ一つ音を出して確認し、その結果選んだ5曲なのだろう。どんな演奏か大いに興味がそそられるところだ。
私もアグアドの練習曲から使えそうな曲を選んだことがあるが、宮下さんの選んだ曲をすべて含んでいた。私と宮下さんの着眼点が同じなのかな。
10/30(土)にソロコンサートを行うけれど、冒頭にカーノの練習曲を5曲演奏する。
お客さんは反応が楽しみだ。
ついにカーノをやるのかのう。
なんて。
カーノ、好きでした。ギターを始めたころ、それは、磯野さんのかっこいい演奏に東京国際でであう少し前のことでしたが、
古典の練習曲の中にクラシックギター音楽のよさを感じていました。
ソルのセゴビア編の19番などに感じた精神性などは、
なかなか、名曲といわれるクラシックの曲の中では出会えないままでいます。
銀の音さん、こんにちは。
そうですカーノをやります。曲の持ち味を引き出すためにいろいろ工夫しています。結構、時間かかりますよ。
練習曲は派手な世界ではないので、お客さんの反応もソコソコ良いのなら充分成功でしょう。素朴な古典音楽の世界を少しでも楽しんで頂ければと思っています。他の作曲家でもいろいろトライしてみるつもりです。