http://natalie.mu/music/news/75492
ジャズピアニストの大西順子さんが引退する。今年秋のライブツアーでもってライブ活動を止めると言うのだ。
大変残念だ。
私が大西さんの音楽に触れたのはCDを数枚聴き、ライブを一回聴きに行った程度なのだが、大西さんのパワフルな演奏はかなり私の好みだ。特にデビューアルバムWOWは今でも大好きで「大西順子」の名前を聞くとWOWの冒頭のメロディーが条件反射的に思い出される。
何が大西さんを引退に駆り立てたのだろうか?
言うまでもなく、ジャズはオリジナルな音を造ることが極めて大切な音楽だ。いくら上手に完璧に弾けても、それが他のミュージシャンのコピーだけなら、ジャズミュージシャンとしての存在価値は全くないに等しい。
楽譜に書かれた音符をきちんと演奏すればそれなりに音楽として成立するクラシック音楽とは、その点で決定的に異なる。
引退発表の文章の中で、
「既に存在するものを自分というフィルターを通して焼き直すだけだったようにも思われます。」
と書いてある。
ジャズという大海の中でオリジナリティを出し続けることに限界を感じていたようだ。また引退を決意するまで充分に考えていて、完璧に気持ちの整理をつけての引退のようだ。
止めると決断するまで、ネガティブなことばかりではなかった。
「 以前より楽器の扱いやハーモニー、フレーズ、リズム、などをより多角的に勉強し、ある程度自分の中では達成感を得、またそれを前作「バロック」で昇華させるチャンスを頂き、その出来具合には個人的に大変満足することができました。」
と確かな手応えも有ったようた。
とにかくお疲れ様でした。
そしてゆっくり休養して下さい。充分な休養の後、もし新しい音楽か見えてきたら是非ステージに戻ってきて下さい。
目をつぶると、大西さんが新しい音楽を引っさげて、躍動しながらピアノを弾いている姿がくっきりと浮かんで来る。