ギターには”フォリアの主題による~~”というタイトルの曲が多い。”フォリア”という言葉をwikiで調べると以下の情報が出てきた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AA%E3%82%A2
これによれば「フォリア」とはスペイン、ポルトガルを起源とするパターン化された低音進行を持つ舞曲のことを指すのだそうだ。なるほど、シャコンヌと同じ様なものだな。このサイトにも書かれているがコレッリ作曲の「ラ・フォリア」が余りにも有名になった為、「フォリア」とはコレッリ作のメロディーを指すものと思っていたがそうではなかったんだね。
このサイトを見ると「アリアと変奏」でギタリストにお馴染みのフレスコバルディもフォリア形式の作品を書いている。どんな曲なのかちょっと見てみたい気がする。
ギターに目を向けてみると以下の作曲家が「フォリア」形式の作品を書いている。
ソル/スペインのフォリアによる変奏曲とメヌエット
ジュリアーニ/スペインのフォリアによる主題と変奏
ポンセ/スペインのフォリアの主題による20の変奏曲とフーガ
デュモン/フォリアによる変奏曲
上に挙げた以外にも多くの作曲家がフォリアを書いていることだろう。すべての楽器でフォリア形式の作品を探せばかなり見つかるのではないか。
ここで「デュモン」という名前を見て「え、誰それ?」と思われる方がいるだろう。
デュモンとは現代フランスのギタリスト、作曲家でパリ国際ギターコンクールの入賞者でもある。合唱の為の作品もあるようだ。
彼の代表作なギター作品は「ラヴェル讃歌」だろう。高速アルペジオの上に綺麗なメロディーがのった味わいのある小品である。どちらかと言えばギターよりもピアノに向いていそうだ。どことなくラヴェルの「水の戯れ」を思い起こさせる部分がある。
さてデュモンさんの「フォリアによる変奏曲」は、大変魅力的な作品なのだが、最大の難点が一つある。それは曲の終わり方が余りにもサビシ~ということだ。
この作品は、荘重で美しい主題の後に沢山の変奏が続いている。第7変奏曲で一度静かになるが、その後から段々盛り上がりを見せ、絶叫する不協和音、チョーキング、即興的なフレーズを交えながら第12変奏曲のラスギャードでピークを築く。ピークを越えるとそれまで登場した変奏を幾つか再現させて終わるのだが、その終わり方が実にあっけないのだ。「ええ、これで終わりかよー」という感じなのである。
デュモンさんは、第12変奏曲までにすべてのエネルギーを使い切ってしまい、あとは息切れしてしまったようだ。大変もったいない。
でもいい作品なので、私は少し手を加えて演奏することにした。
「フォリアの~」は私が演奏しなかったら世界中どこを見回しても演奏されることはない(と思われる)超マイナーな作品なので、若干の手直しぐらいはデュモンさんも許してくれるだろう。
修正のポイントを簡単に言うと
1.ピークを築く第12変奏曲の後に即興的なフレーズを挿入し、ピークの余韻を長くする。
2.第12変奏曲後に再現される変奏の順序を入れ替える。
3.自作の変奏を加える。
3の自作の変奏だが、アルペジオの静かで美しい変奏が欲しいと思っていろいろ音をこねくり回してみたら、どこかで聴いたような旋律になってしまった。そう、先に書いたデュモンさんの「ラヴェル讃歌」の冒頭のフレーズになってしまったのだ。どちらも同じ調性(h-moll)のゆっくりした曲なのでそれもあり得ることなのだ。100%同じ音符ということではないので、あくまで自作の変奏ということにしておこう。
10/30(土)にソロコンサートを行うけれど、フォリアの曲を2曲演奏する。もちろんデュモンさんの作品も含まれる。デュモンさんの作品を聴いたお客さんはどのような反応を示すだろうか。