2012年ウィンブルドンの決勝でマレーはよく頑張った

昨日の夜、ゲーム(wii)をするためにテレビのスイッチを入れた。
チャネルを切り換えると、NHKでテニスの中継をしているところで、 画面いっぱいに拡がる芝生の緑に「おお、ウィンブルドンか」。 雨による中断のあと、コートの屋根が閉まり、選手のウォーミングアップが始まった。 実況していたのは、男子決勝の試合で、組み合わせはマレーVSフェデラー。折角なのでwiiを止めてしばらく見ることにした。


試合中は、選手だけでなく客席にも頻繁にカメラを切り換える。ベッカム夫妻や、ロッドレーバー、サンタナなどの往年の名テニスプレーヤーも試合を観戦しているのだ。決勝ともなると客席もスター揃いだ。
時々、選手席(家族やコーチが座る席)も映されるが、そこに見覚えのある顔が目をかすめた。
「おお、あの顔は、、、、、、、、でもまさか」。 その顔を見るやいなや、試合よりその顔の方が気になってきた。 選手席を映すたびに最前列左側に座っているその顔をしっかり見る。”まさか”は確信に変わった。
「レンドル、レンドルじゃないか。何故ここにいるんだ。まさかマレーのコーチに?」

イワン・レンドルは1980年代に活躍した名プレーヤー。実力は有ったがビッグタイトルには縁がなく、「無冠の帝王」と呼ばれていた時もあった。4大トーナメントでは決勝には進ものの、精神的に脆く、プレッシャーに負けて、ふがいない戦いを繰り返していたのだ。
そ れを打ち破ったのは1984年の全仏。決勝の相手はジョン・マッケンロー。グランドストロークを主体とするレンドルには、全仏のクレーコートは得意なコー トであり、マッケンローにも対戦成績で勝ち越していたので戦いやすい相手だった。しかしゲームが始まってみるとレンドルはずるずると2セットを失い、後が 無くなった。再び”メジャー準優勝”の文字がちらついたが、レンドルはいつものレンドルではなかった。そこから驚異の粘りを発揮。特にネットにつめられて のパッシングショットや伝家の宝刀のトップスピンロブが決まりだしてから、ゲームはレンドルペースに流れは傾き、気がつけば3セット連取大逆転で4大トー ナメント初優勝を飾ったのだった。その翌年には、念願の全米も優勝したレンドルは実力、精神力が最高に充実。照準はウィンブルドンに合わされたのだが、決 勝でベッカーやキャッシュに阻まれた。

「これまで獲ったタイトルとすべて引き換えにしてもウィンブルドンのタイトルが欲しい」と言わしめ たウィンブルドンだが、2度の決勝進出以降はウィンブルドンに縁が無く、1994年に静かにキャリアを終えた。レンドルの引退と共に、私にはひいきの選手 がいなくなった。勿論、アガシやイヴァニセビッチ、ナダルが優勝したときの試合は大変面白く観戦したし、興奮したけれどその時限りだった。

そのレンドルが再び目の前に現れたのだ。マレーのコーチという形で。
今年からマレーのコーチになったそうだが、マレーとはどういうつながりなのだろうか。
昨日の試合は、マレーはイギリス人プレーヤーとして74年ぶりの決勝進出で、フェデラーに勝っていれば76年ぶりの優勝だった。
準 優勝のスピーチの時、マレーは涙を流しながら、ウィンブルドンで優勝する難しさ、大きなプレッシャーを受ける苦しさを打ち明けた。その涙にもらい泣きして いたお客さんも沢山いたが、76年ぶりのイギリス人の優勝にかかる期待は相当大きかったのだろう。そればかりではない。マレーはレンドルが果たせなかった ウィンブルドン優勝の悲願までも背負っていたに違いない。

それにしてもフェデラーは強かった。マレーもかなりくらいついていたが、フェデ ラーは隙が無く完璧なテニスをしていた。ストロークの速さと正確なプレースメント。時折織り込むドロップショットは唖然とするような完成度だった。強いの はフェデラーだけでなくナダルやジョコヴィッチの壁も相当厚い。
それでもマレーには頑張って欲しい。プレッシャーをバネに、飛躍する強さをマレーは備えているはずだ。

これからはマレーの試合をじっくり観戦し、応援することに決めた。もしマレーがウィンブルドンに優勝したら、レンドルコーチはどんな顔で優勝を祝うのか。想像しただけで泣けてきそうだ。

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3件のコメント

  1. ウィンブルドンの男子決勝は見ているこちらもアツくなりますよね~!
    我が家も息子と一緒に2時半まで見続けてしまいました。
    確かに、マレーの応援席のコーチがやたらアップで映るなぁ…と思っていましたが
    有名な方だったのですね。
    「イワン・レンドル」…名前は知っていましたが顔までは覚えていませんでした。
    我が家は息子が「フェデラー好き」なようで(笑)、マレーではなくフェデラーを応援していましたが
    マレーの涙のスピーチを見た時は、「マレーに勝たせてあげたかったなぁ」と思ってしまいました。
    でも、やっぱり今回はフェデラーの方が王者の風格でしたね。
    コーチの悲願も背負って、今後のマレーの成長&活躍が楽しみですよね。
    我が家も次回はマレー&レンドルコーチを応援させて頂きます(^^)v
    ・・・と初コメントさせて頂きました。突然失礼致しました。

  2. AN.さん、コメント有り難うございました。m(._.)mペコッ

    息子さんと観戦なんていいですねえ。我が家の息子はまだ小さいので、一緒に観戦とはいかないのですが、大きくなったらサッカー、テニス、ゴルフ、野球なんかを一緒に見れたらいいんなあと期待しています。

    私がレンドルを応援し続けたのは、実力は有ったけれど課題も多くなかなかメジャーでは勝てない。勝てないから、ストイックなまでに自分を律して上手くなろうと努力する。その姿に共感を覚えたからです。あと他のプレーヤと比較して華が少なく、無口なところもかな。ストロークはめちゃめちゃ強いけれど、ネットプレーは下手だったので、ダブルスの名プレーヤーだったトニーローチをコーチに迎えて課題を克服しようと努力した。その成果が出て、1985年の全米ではネットでもポイントを取れるようになり、マッケンローに圧勝した。

    そんなプロセスを私は楽しんでいたと思います。レンドルがフェデラーのように完成されたプレーヤーだったら余り応援しなかったかな。そんな気がします。マレーはフェデラーと較べるとまだまだ未完成だし、スピーチで泣き出したりして、なんかいいやつと思えてくるんですよね。そんなところを応援してやろうかと思っています。勿論日本の錦織選手もね。

    これからも一緒に、マレー&レンドルを応援しましょう!!

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