私がクラシック音楽を演奏するギター(いわゆるクラシックギター)の存在を知ったのはNHK教育テレビで放送していた「ギター教室」を見てからだ。当時NHKはギターだけでなく、ピアノ、ヴァイオリン、フルートの教室も放送していた。私はフルートに憧れていたので、フルート教室の方を熱心に見ていた。フルート教室の講師は吉田雅夫さん、大御所です。
「ギター教室」を初めて見たときの先生は寿楽光雄という方だった。先生の演奏は記憶に無いのだが、生徒さんが演奏していたタレガのラグリマや、ジュリアーニのアレグロヴィヴァーチェはとても美しく、うっとりしながら聴いていた。
「ギター教室」は半年、もしくは一年で講師が入れ替わった。当時若手三羽ガラスと言われた荘村清志、渡邊範彦、芳志戸幹雄氏らが講師になったこともある。今から考えたら本当に凄い時代だった。現在に置き換えれば大萩康司、村治佳織、木村大さんあたりが講師を勤めるのと同じではないか。もし村治さんが講師になったら、にわかギター学習者が増えて、どこの書店でもテキスト完売が続出!! 、、、、あり得ない話ではない。
さて昔に戻るが、小遣いを貯めてモーリスの7200円のギターを入手し「ギター教室」で勉強することにした。フルートにも憧れたが、フルートは高かったので断念しギターに変えたのだ。その時の「ギター教室」の講師は高峰巌さんといい、髭をたくわえた優しいおじさんだった。テキストの中にマスネ「エレジー」の編曲譜が有った。テキストは紛失してしまったが「エレジー」は今でも指が覚えている。
ある時、そのエレジーを原曲の歌で聴く企画が有った。スピーカーからエレジーが流れ始めると、高峰さんは曲に聴き入った。テレビに収録されていることを忘れるくらい聴き惚れてしまった高峰さんは、曲が終わってもしばらく動かなかった。
しばしの沈黙の後、「すっかり聴き入ってしまいました」と眼鏡の奥の優しい目が動き出した。高峰さんは優しい先生だった。
私のギター人生はこのおじさんと共にはじまったのだ。
そうです、NHKの音楽教室の講師は超一流ですた。バイオリンは江藤俊哉さんでした。ギター教室に話を戻します。
1970年度後期が寿楽光雄先生、1971年度の前期が高嶺巌先生、後期が阿部保夫先生でした。
そうです、寿楽先生のときはジュリアーニのアレゴロ・・が課題曲にあり、卒業演奏で女性の生徒が弾いていました。ラグリマは高嶺先生ときの中級の課題No.1です。高嶺先生は「これを聴くと梶井基次郎の・・」を思い出します とかいってました。小生もも高嶺先生がすきでした。オープニングは聖母のいとし子でした。エレジーは中級編のNo.4の課題でした。手元にあるテキストで確認できます。たしかに、声楽家が実際歌う場面がありました。今思い出しました。71年度まではB5サイズでした。¥100でした。
アシスタントの女性アナウンサーは村部勅子さんではなったでしょうか。(ネットで探して金山勅子(1969年入局)と出ているので、この方だと思います。FM番組に1974ころまで出ていたのを覚えています。)ギターの持ち方の指導では、当時流行っていたミニスカ姿でモデルをしていました。白黒画面でしたが、小生は当時中2~3でしたので、踏み台に脚を乗せ、膝にギターを置く画面は刺激的でした。
大学卒業後、弾くことがほとんどなくなりましたが、時々ふとこのアナウンサーのことを思い出します。いまはどうしているのでしょうか。
懐かしいお話、ありがとうございました。
XARACYOさん、コメント有り難うございます。
そうでした。高峰さんの時のオープニングは「聖母のいとし子」でした。訂正有り難うございます。今、その譜面がおぼろげに頭に浮かんできました。
よく弾かれるリョベート版と比較すると弾きやすい和音でした。
それにいまだにテキストをお持ちとは、ものを大切にされる方なんですね!!
昔よく見た女性用のギター演奏姿勢は、今は流行らないというか合理的じゃないから見かけませんね。
女性アナウンサーのことは覚えていませんが、芳志戸さんの時の司会をしていた女性アナウンサーはレッスンも受けていて、しっかり弾きこなしていたように思います。全国に放送されているというプレッシャーでいやでも練習せざるを得ないのでしょう。それは生徒さんも同じか。